2016年07月05日

オーストリア・スイスのカーシェア視察 3日目 CARUSOに触れる

【6月18日(日曜日)】

朝、ブレゲンツに到着し、ホテルに到着すると荷物を預けて、そのホテルの近くに設置されてあるCARUSOの車に向かいました。CARUSOは基本的には、コミュニティ内の限られた方々でシェアリングを行うカーシェアリングシステムをおこなっていますが、最近ウィーンで視察したZip Carのようなオープンなカーシェアリングも最近になって開始し、今回私たちは、その車を活用させていただきました。

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(車はルノーの電気自動車)

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(CARUSOのICカード)

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(カードをかざすことでドアの鍵を開ける)

私たちが目指したのは人口1,900人の村Sulzberg。この5月からCARUSOの導入を開始した自治体です。

雨の中、山道を延々と車で走り続け集落にたどり着きました。

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「村長を20年間やってきましたが、日本人のお客さんは初めてです!」

そんな言葉と共に、Sulzbergの村長さん、カーシェアリングの車両を設置している教会の司教さん、精力的に取り組んでいらっしゃる市民ボランティアの方の3名の方々が日曜日にもかかわらず温かく迎えてくださいました。

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この村は、州から環境に配慮した優れた取り組みを行っている自治体に選ばれていて、2050年までにはエネルギーの自立を目指していらっしゃいます。車はできる限り電気自動車に移行させていき、2025年までには1世帯1台以上の車は全てカーシェアリングによって賄うとおっしゃってました。
今回のCARUSOのカーシェアリングを自治体として導入したのはそうした取り組みの一環で始めたそうです。
こんな小さな村が、非常に大きな志の元、具体的に取り組みを進めている様子に感動しました。

現在村に3台の車をシェアカーとして活用しています。
司教さんの車を更に1台追加することが決まっており、更に9人乗りの車のシェアリングも村の人から申し出をいただいていて、追加される予定とのことでした。

CARUSOは各ユーザーが毎月10ユーロ(約1,200円)使用料を支払わなければならないのですが、最初の1年間は自治体側で負担されます。現在、市報等で広く村民に広報を行い、行政主導でカーシェアリングの普及に努めていらっしゃいました。

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(市報で紹介されている様子)

一通りお話を聞かせていただいた後、車を設置している現場(教会)にご案内いただきました。

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鍵の管理の方法や、車のログをつけるためのシステムについてご説明いただきました。

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(ユーザー同士で番号を共有し、鍵の管理を行っていらっしゃいます)

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(古いタイプのスマホを車に設置して活用されていました)

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私が印象に残ったのは、

「物事を決めるには2通りのやり方がある。一つは色々と議論を尽くしてから始める方法。もう一つは、まずやってみて、それから色々と修正する方法。私たちは後者なのです。」

とおっしゃってました。私は嬉しくなって、英訳したガイドブック「よし、やってみよう!」を取り出して、タイトルを指さして

「これですよね?」

と日本語で言うと、「イエス!」と明快な答えが返ってきて、言葉を超えてとても共感し合えた瞬間でした。

また、CARUSOの予約と決済のシステムがとても便利であると言っていて、この点がシェアリングの肝であることがとてもよくわかりました。

Sulzbergの後は、CARUSOのシステムを活用している近隣の村を巡ってきました。

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下の写真にあるように山の中に集落が生活圏を整備して暮らしており、そんな村々でCARUSOは活用されているのです。私達のカーシェアは仮設住宅や復興住宅等の集合住宅中心にシェアリングしていますが、10分程度の徒歩圏内ではみなさん、シェアリングされている様子でした。

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一旦ホテルに戻り、そこからCARUSOの創業者Christian Steger-Vonmetz氏宅へ伺い、翌日の意見交換の前にCARUSOを始めたきっかけと、ご自身のマンションで実践されているカーシェアリングについてお話を伺わせていただく事になりました。

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思い描いた通り、静かで物腰柔らかな人柄で、私達の訪問を温かく迎えてくださいました。
コミュニティでシェアリングしやすい環境を考え続けた同志に出会えた、何とも言い表せない嬉しい気持ちになりました。

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彼は、今のアパートに引っ越してきて、同じアパートに住む弟、近所に住む親せきとカーシェアリングを始めたことが全てのきっかけだったそうです。最初は私達のようにアナログなスタイルでやっていたそうなのですが、予約がブッキングしたり、使いたいときに使えなかったりして、ITを使ってそれらがうまく行えるように色々試していったそうです。そして、考えうるシステムを色々組んで実際にやってみたけど、使わなかったり、コストが高かったりしたものを、一つずつ精査して外していったそうです。結果、残ったのが今のCARUSOのシステムとのことです。

無駄のない、シンプルなシステムは、様々な試行錯誤の末、生まれたのでした。

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(外が明かるので、昼間のようですが、既に20時を過ぎています)

彼との話の後、このアパートで実際行っているシェアリングについて、駐車場に停めてある車を見ながら説明してくださいました。

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この後、最初にシェアリングを始めた弟さん宅を訪ね、一ユーザーとして色々とヒアリングを行うことができました。

この日は、遠い異国で行われている私たちと一味も二味も違うコミュニティ・カーシェアリングにようやく触れることができ、感無量の一日でした。

Sulzbergで市民ボランティアの男性が言ってました。

「今、インターネットでいろんな情報をすぐに手に入れることができる時代だが、本当に大事な情報は足を使わないと手に入らない」

本当にその通りだなぁとしみじみ思いながら、ホテルまでの明るい夜道を歩いて帰りました。



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posted by 日本カーシェアリング協会 at 22:45| Comment(0) | 活動報告 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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